RFIDアンテナの選び方|種類と特徴

RFIDアンテナとは?

RFID_アンテナの選び方

RFIDアンテナとは、RFIDタグやRFIDラベルを読み取るための電波を受信・送信する役割を担います。

RFIDアンテナの選び方
RFIDアンテナは固定タイプのRFIDリーダライタのに接続して使用します。RFIDリーダライタの周辺機器の位置づけではありますが、RFIDの運用をしていくうえで大切な役割を果たします。

ハンディータイプやセパレートタイプのRFIDリーダライタは電波の制御を行うRFIDモジュール部分とRFIDアンテナが一体となっています。

RFIDアンテナの電波|利得と指向性とは?

RFID_アンテナの選び方

WiFiルーターや携帯電話、テレビなど私たちの身近には電波とアンテナを利用した機器は数多くあります。電波の受信/送信をすることがアンテナの役割ですが利用用途によりその特徴が異なります。
部屋中に電波を発信する必要があるWiFiルーターと違い、RFIDアンテナは効率良くRFIDタグを読み取らせるために電波を一定方向を集約するように設計されております。この一定方向に集約した電波と仮に集約しなかった場合の電波強度の差分を利得と言い、RFIDアンテナは利得が高くなるように設計されています。アンテナ利得が高いと特定の放射方向(指向性)において強い電波を発信できたり、受信できたります。

アンテナの利得の計算方法には2種類あります。1つ目が【アイソトロピック(等方的)アンテナ】、いわゆる仮想アンテナです。2つ目が【λ/2ダイポールアンテナ】となります。【アイソロピックアンテナ】は満遍にどの方向にも電波を放射すると仮定したアンテナで電界強度の計算が行いやすいのが特徴です。※仮想アンテナのためUHF帯の利得計算には使用しません。【λ/2ダイポールアンテナ】は8の字の特性を持つことから、上記のアイソトロピック(等方的)アンテナより高い利得になります。構造がシンプルなので電界強度はシミュレータなどで正確に算出することが可能です。

 

RFIDアンテナの選び方

RFIDアンテナの種類

RFID_アンテナの選び方

RFIDアンテナにはアパレルショップのレジなどに使われている【シート・タイプ】、物流倉庫や屋外などでも使われる【平面タイプ】、小売店の入り口に設置されている【ゲート・タイプ】など、いくつかの種類があります。本記事では固定タイプのRFIDリーダライタに接続するアンテナのうち、小売店の入り口に設置されているゲート・タイプを除いた【シート・タイプのRFIDアンテナ】と【平面タイプのRFIDアンテナ】に関して、特徴や性能毎に選び方をまとめました。
【シート・タイプのRFIDアンテナ】と【平面タイプのRFIDアンテナ】を選ぶ時に注意すべき項目は以下となります。

RFIDアンテナ選定の確認ポイント重視するのは?
RFIDアンテナのサイズ小さい or 大きい
RFIDアンテナの利用場所屋内 or 屋外
RFIDアンテナの電波特性直線偏波 or 円偏波
RFIDアンテナの出力電波強度弱い or 強い
RFIDアンテナの読み取り特性距離よりも範囲が重要
or
範囲よりも距離が重要

RFIDアンテナのサイズで選ぶ

RFID_アンテナの選び方

アンテナのサイズは、基本的に読み取り範囲と読み取り距離に影響します。シートタイプのRFIDアンテナではサイズが大きくなることで読み取り範囲が広がり、平面タイプのRFIDアンテナではサイズが大きくなることで読み取り距離が伸びることが一般的です。
アパレルショップのレジ周辺などでは設置場所スペースが限られていることや外観の問題からシートタイプのRFIDアンテナを会計テーブルの下に設置されていたり、物流倉庫の棚毎に設置されるRFIDアンテナはあえて読み取り範囲を抑えるために小型タイプの平面アンテナが採用される場合があります。設置場所のスペースと読み取りエリアに応じて最適なRFIDアンテナを選ぶ必要があります。

RFIDアンテナの利用場所で選ぶ

RFID_アンテナの選び方

雨風やホコリなどにも耐えられるよう、屋外設置が可能なRFIDアンテナは防水性能や防塵性能、衝撃耐性などの耐環境性能が高くなるように設計されております。防水防塵性能に関してはIP表記、衝撃耐性に関しても試験値などがデータシートに記載されています。屋内であっても物流倉庫や製造現場などでは耐環境性能の高いモデルが選択されることが多いです。

RFIDアンテナの電波特性で選ぶ

RFIDアンテナが発する電波(UHF帯)は読み取り距離が長くとれる【直線偏波】タイプのアンテナと読み取り範囲が広い【円偏波】タイプのアンテナの2種類に大別されます。それぞれの特徴や推奨される運用イメージは以下のとおりです。

RFID_アンテナの選び方

【直線偏波】

  • 円偏波に比べ、読み取り距離が長い
  • 円偏波に比べ、読み取り範囲が狭い

直線偏波のRFIDアンテナは指向性があり利得が高いため読み取り距離を伸ばせるという特徴があります。電波が波を打ちながら直線方向に伸びるイメージです。読み取り距離が特に長いRFIDリーダライタ(手持ちタイプ)では20m先のRFIDタグを読み取ることが可能です。一方で指向性があり利得が高いことにより、読み取り範囲が狭いという特徴があります。RFIDタグが必ず同じ面に張られていて読み取りする際もRFIDタグに対して必ず正対した同じ方向から読み取る、といった運用に最適です。

RFID_アンテナの選び方

【円偏波】

  • 直線偏波に比べ、読み取り距離が短い
  • 直線波に比べ、読み取り範囲が広い

円偏波のRFIDアンテナは指向性が低く利得も高くないため、読み取り範囲が広くRFIDタグの読みこぼし(読み漏れ)を少なくできるのが特徴があります。電波が円を描きながら広がっていくイメージです。最大読み取り距離は1.5m~10mの間に収まるのが一般的です。RFIDタグの貼り付け面が揃っている必要がないため、アパレルショップの棚卸から医療現場での精密機器管理、製造現場の製品管理などさまざまな現場で採用されています。

RFIDアンテナの出力電波強度で選ぶ

RFID_アンテナの選び方

電波を発してデータの読み取りを行うUHF帯RFIDリーダーは無線機器扱いとなります。出力w数の高い機器は読み取り距離が長くなりますが、251mW以上の強い電波を発するRFIDリーダーに関しては機器を使用する企業が無線機器の登録申請が必要となります。一方で250mW以下のRFIDリーダーに関しては、特定小電力無線局の扱いとなり登録申請の必要がないため、アンテナ1つあたりの読み取り距離が重要でない場合は250mW以下を採用することで登録申請の手間を省くことが可能です。

RFIDアンテナの読み取り特性で選ぶ

RFID_アンテナの選び方

偏波方式や出力電波強度が同じ場合であっても、アンテナ毎に読み取り幅や読み取り距離などの特徴が異なります。これは利得特性に起因するもので、利得が高いと指向性も高くなるため読み取り幅(Beamwidth)が狭まり、一方で利得が低いと指向性も低くなるため読み取り幅が広がります。偏波方式や出力電波強度などを決めたうえで最後に確認していただく項目となります。

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この記事を書いた人

松岡 泰樹

松岡 泰樹

【じ】編集長 兼営業部SDR(セールスディベロップメントチーム) マネージャー。ひとり編集部として、イラスト制作からライティングまで全工程を担当。SDRでは導入前の機器選定・評価サポートから、現場改善支援、協業パートナーと連携したDX支援に従事。