RFIDタグのEPCとは?
この記事の目次
EPCとは?
RFIDタグの共通言語
EPCとは【Electronic Product Code】の略で、国際的に標準化されたRFIDタグに書き込むGS1識別コードの略称です。識別コードというのはRFIDタグの中身のデータが「何を表しているか」を示すもので、JANコードに代表される*標準化団体であるGS1に準拠したRFIDタグに書き込むデータの国際的なルールであり、RFIDタグの共通言語と言えます。
*GS1の下部組織であるEPCGlobal inc(https://www.gs1.org/epcglobal)
RFIDラベルには【*EPCメモリ】というEPC専用のデータ領域があり、そこにデータを書き込み使用します。一般的にEPCメモリにはGS1コードで用いるGTINに固有番号を付加したSGTIN(Serealized GTIN)を格納することが推奨されています。
*EPC Gen2規格準拠のRFIDタグ・ラベルの場合
EPC識別コード|データが何を表しているか分かる
EPC識別コードはGS1識別コードを元に作成されるため、GS1-128(バーコードの種類)と互換性があります。GS1-128同様に、使用するRFIDデータがEPCに準拠していること、識別コードがデータの先頭(ヘッダ)に付加されることでアプリケーションがEPCに基づいてデータを識別をします。
以下はGS1識別コードに対応するEPC識別コードの一例です。
GS1識別コード | EPC識別コード | |
モノ・製品の管理 | GTIN [Global Trade Item Number] | SGTIN [Serialized GTIN] |
場所の管理 | GLN [Global Location Number] | SGLN [Serialized GLN] |
輸送品の管理 | SSCC [Serial Shipping Container Code] | SSCC |
資産の管理(輸送パレットなど) | GRAI [Global Returnable Asset Identifier] | GRAI |
RFIDタグのメモリ構造とデータ領域
RFIDタグの構造・データ領域を知ることでEPCの理解をより深めることができます。
メーカーによってタグ自体の特性はさまざまですが、データを書き込む【インレイ】部分の構造とデータ領域はISO/IEC18000-63に準拠したEPC Class1 Generation2、通称EPC Gen2(=EPCglobal C1G2)規格のものが主流です。
EPC Gen2規格のRFIDタグは4つのデータ領域・チップのメモリ構造を持っています。
- 【USER】ユーザーが自由に使えるデータ領域|読み・書き可能
- 【EPC(UII)】EPCを格納するデータ領域|読み・書き可能
- 【TID】タグ製造メーカーが使用するデータ領域|読み取りのみ可能
- 【RESERVED】メモリへのアクセスを制限するパスワードなどを格納しているデータ領域|読み書き不可
*RFIDタグの種類・価格により、【USER】メモリがないものや【RESERVED】メモリが機能しないタグが存在します。使用環境や用途により最適なRFIDタグを選択することが必要です。
なぜEPCを使うのか?
EPCメモリをUSERメモリとして使用されるケースがまだ多い?
【EPCメモリ】はEPCを使用する専用領域としてEPC Gen2では定義されていますが、日本国内ではRFIDシステムを自社内やグループ企業内でのみ導入していることが多く、【EPCメモリ】を【USERメモリ】スペースとして企業特有の独自コードを書き込んで使用しているケースが多いのが実情です。
また、RIFDタグのコストが高く、【USERメモリ】を搭載していないタグ採用しコストを削減しているケースでも同様に【EPCメモリ】に独自コードを格納しています。
本来は【EPCメモリ】には国際標準に準拠したユニークなコードを格納し、自社内やグループ企業内だけで使用する独自コードは【USERメモリ】に格納することで、世界中の企業が同一のRFIDタグを使用でき、製造・物流・在庫管理・販売まで一貫したサプライチェーンを効率的に運用することが可能です。どこの企業でも読み取り・データ判別が可能な国際標準に準拠したユニークなコードの採用が推奨されています。
世界中でRIFDタグを共通使用できるように
世界110か国以上が加盟するGS1が定めたグローバル標準であるEPCは、国内に限らず、輸出入など海外との取引においても重複のない、ユニークなコードとして利用することを想定して規格化されました。JANコードのように商品の識別に利用するSGTINやレンタルパレットなどの繰り返し使う物流資材の資産に利用するGRAIなど、様々な用途に合わせた識別コードがあります。
EPCが世界中で使用されることで高度なサプライチェーンが実現します。輸出元の企業が最初に一度だけEPCに準拠したRFIDタグを張り付け・データを書き込めば、そのあとに輸入・物流・販売に関わる企業は RFIDラベルの張り直す必要がなく読み取るだけで商品を管理することが可能です。これを【*WORM:Write Once Read Many】といい、サプライチェーンにおけるRFIDソリューションが世界規模で目指す目標とされています。
*RFIDタグの1種で、データの書き込みを1度に制限したタグ(WORMタイプ)とは別の意
グローバル標準のEPCコードを使うことで国内外の企業をまたいだシステムの運用が可能になるとともに、「商品データだけを読み取りたい」「使用回数のデータだけを読み取りたい」とった、必要な情報だけに絞ったデータ活用が可能となります。
EPCを使用するには?
EPCの利用にはGS1事業者コードが必要
EPCの利用にはGS1事業者コードを取得する必要があります。一般財団法人 流通システム開発センター(GS1 Japan)のWEBページにて、GS1事業社コードの新規登録手続きが必要です。
GS1事業者コードをすでに所持している企業は、無料でEPC識別コードを利用可能です。こちらのページを参考に書き込みデータを作成してください。
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