バーコードリーダーの選び方|読み取り精度(デコード性能)編
この記事の目次
バーコードリーダーの選び方 読み取り性能・その2|読み取り精度(デコード性能)編
バーコードリーダーの選び方を【読み取り性能】・【コスト削減】・【運用最適化】に分けて連載していきます。
本記事は効率と生産性に直結するバーコードリーダーの読み取り性能に関する内容の2/7回目、バーコードリーダーの読み取り精度を決めるデコード性能に関する内容となります。
- バーコードリーダーの選び方 基本の【き】編
- 読み取り性能|読み取り角度編
- 読み取り性能|読み取り精度(デコード性能)編(本記事はコチラ)
- 読み取り性能|読み取り距離(DOF)編
- 読み取り性能|モーション・トレーランス編
- 読み取り性能|分解能編
- 読み取り性能|一括読み取り編(近日公開)
- 読み取り性能|プラグイン機能編(近日公開)
- コスト削減|データ編集機能編(近日公開)
- コスト削減|キッティング編(近日公開)
- 運用最適化|用途に合わせた機器編(近日公開)
バーコードリーダーの読み取り精度|デコーダーとは?
バーコードリーダーでは【デコーダー】と呼ばれる部分でバーコードを分析し、読み取り処理を行っています。【デコーダー】はバーコードリーダーのソフトウェア部分となり、プログラムがバーコードの分析を行います。この分析性能がバーコードリーダーの読み取り精度を左右する大きな要因のひとつとなります。
バーコードリーダーの基本構成
バーコードリーダーの基本構成は画像を撮影する【カメラ・レンズ】、撮影の補助となる【照明】、そして撮影した画像からバーコードを分析する【デコーダー】の3つから出来ています。
※2次元バーコードリーダーの場合。レーザーモジュール搭載の1次元バーコードリーダーは【カメラ・レンズ】の部分が【レーザーモジュール】となり、【照明】は搭載されません。
デコーダーの機能と役割
デコーダーの主な機能
デコーダーの主な役割は名前の通り「バーコードをデコードする」ことです。デコードとは線やセルで構成されたバーコードやQRコードに格納されているデータ(エンコードデータ)を人間が理解できるデータに変換することを意味します。
デコーダーの役割その①|バーコード抽出
カメラで撮影された画像の中から背景や文字などを取り除き、瞬時に読み取りたいバーコード部分を抽出することが役割その①となります。
デコーダーの役割その②|バーコード補正
役割その②はバーコードを補正する画像処理の技術です。バーコード補正の技術がデコード技術の根幹となります。現場で読み取られるバーコードは印字直後のキレイな状態を保っているとは限らず、汚れやかすれ、欠けといったものから読み取り角度のついた歪んだバーコード、ラッピングにより反射してしまったバーコードなど、さまざまな印字状態のバーコードが存在します。そういったバーコードを画像処理の技術で本来あるべき姿を想定し補正を行うことで、バーコードとして認識しデコード出来る状態にします。
デコード性能が低いとどうなる?
デコード性能の低いバーコードリーダーは現場の生産性を下げるだけでなく、さまざまな弊害を引き起こします。
バーコードを読めない・読み取りづらい
バーコードの読み取り精度を決めるデコーダーのデコード性能が悪い場合、撮影した画像内にあるバーコードをバーコードとして認識できずに読み取れないといったことやバーコードと認識するまでに時間がかかり読み取りづらく現場の作業効率を落としてしまう要因となります。挙句の果てにバーコードリーダーを使う作業者が目視でデータを確認し手入力するといったこともあり、デコード性能が低いとヒューマンエラーに繋がります。
バーコードを誤読する
デコード性能が低いことによる2つ目の弊害はバーコードの誤読です。誤読とはバーコードを異なるバーコードとして認識してしまうことで、誤読により本来出力されるべき正しいバーコードデータではなく、誤ったバーコードデータが出力されてしまいます。このバーコードの誤読は例えば物流現場などでは荷物の送り状についた追跡用のバーコードを誤読することで本来出荷されていない荷物が配送されてしまったり、製造現場で製品管理のバーコードを誤読してしまうと誤った製品情報がシステムに登録されてしまいます。
※大きな問題に繋がる誤読ですが、その原因の全てがデコード性能というわけではありません。そもそも印字されたバーコードが印字規格に沿っていないことに起因するものや印刷ラベルに起因するもの、データ転送時に起因するものなどがあります。誤読を引き起こす要因は複数あることを留意しておくことで誤読の被害を最小限に留めることができるでしょう。
デコーダーは製造メーカーの技術の結集?
読み取り精度を決めるデコーダーの分析処理能力=デコード技術は、長年の開発で培われてきたバーコードリーダー製造メーカーの技術の結集です。特許技術として公開されているものから、ブラックボックスとして公開されていないものまで、デコード技術はエンジニアの汗と涙の結晶といっても過言ではないでしょう。
Honeywellのバーコードリーダーのデコード技術は他メーカーの追随を許さない圧倒的な読み取り精度を誇ります。そしてその技術に対して数多くの特許が取得されています。2019年にもHoneywellが所持する特許への特許侵害とその和解金として、900万USドルを受け取るというニュースが話題となりました。
- タグ: