バーコードリーダーの選び方|読み取り距離(DOF)編
この記事の目次
バーコードリーダーの選び方 読み取り性能・その3|読み取り距離(DOF)編
バーコードリーダーの選び方を【読み取り性能】・【コスト削減】・【運用最適化】に分けて連載していきます。
本記事は効率と生産性に直結するバーコードリーダーの読み取り性能に関する内容の3/7回目、バーコードリーダーの読み取り距離=DOFに関する内容となります。
- バーコードリーダーの選び方 基本の【き】編
- 読み取り性能|読み取り角度編
- 読み取り性能|読み取り精度(デコード性能)編
- 読み取り性能|読み取り距離(DOF)編(本記事はコチラ)
- 読み取り性能|モーション・トレーランス編
- 読み取り性能|分解能編
- 読み取り性能|一括読み取り編(近日公開)
- 読み取り性能|プラグイン機能編(近日公開)
- コスト削減|データ編集機能編(近日公開)
- コスト削減|キッティング編(近日公開)
- 運用最適化|用途に合わせた機器編(近日公開)
バーコードリーダーの読み取り距離|DOFとは?
バーコードリーダーでバーコードやQRコードなどの読み取りが可能な範囲のことを【DOF】と言います。DOFはバーコードリーダーに搭載されたカメラ・レンズの性能とバーコードを識別するデコーダーの性能に大きく起因します。
DOFは何の略?
DOFは【Depth of Field】の頭文字を取ったものもので、「ディー・オー・エフ」と読みます。
DOFを日本語で言うと?
バーコードリーダーにおけるDOFは【読み取り深度】と日本語で訳されます。カメラやカメラ・レンズのスペック表でも見ることが多いDOFというワードですが、カメラの場合は【読み取り深度】ではなく【被写界深度】と訳されることが一般的で、カメラレンズのピントが合っている焦点位置や距離が記載されています。
バーコードリーダーはカメラと違い、読み取り対象となるバーコードにピントが合っていないボケている状態であっても、デコーダーと呼ばれるソフト処理の技術で読み取りが可能なことから、カメラ・レンズの焦点距離ではなくバーコードが読み取り可能な距離として【読み取り深度】と訳されます。
DOFは表で記載?|確認するべき項目2つ
DOFはバーコードのシンボル種や分解能によって値が異なり、読み取りテストを行うバーコードの※シンボル種と分解能がセットとなり、以下のように表で記載されていることが多いです。
※シンボル種=バーコードの種類。分解能=バーコードで一番細いバー幅。QRコードなどの2次元コードの場合はセルサイズ。
バーコードシンボル/分解能 | ニアー(最小読み取り距離) | ファー(最大読み取り距離) |
Code39 / 0.254mm | 0mm | 443mm |
Code39 / 0.508mm | 4mm | 822mm |
UPC / 0.330mm | 0mm | 490mm |
DataMatrix / 0.254mm | 29mm | 245mm |
QR / 0.508mm | 0mm | 438mm |
確認するべき項目はバーコードの読み取り最小距離を表す【ニアー】の値と読み取り最大距離を表す【ファー】の値です。
その1:バーコード読み取り最小距離=【ニアー】
【ニアー】の値はバーコードリーダーの読み取り面から計測された最小の読み取り距離となります。例にあげたXenon1952のDOFは、ニアーが0mmになっているCode39(0.254mm)やUPC-Aなどはバーコードリーダーの読み取り面をバーコードにくっつけて読み取ることができることを表し、ニアーが29mmとDatamatrix(0.254mm)は読み取り面から3cmほど離して読み取る必要があることを表しています。
その2:バーコード読み取り最大距離=【ファー】
【ファー】の値はバーコードリーダーの読み取り面から計測された最大の読み取り距離となります。例にあげたXenon1952のDOFファーの値が822mmと大きいCode39(0.508mm)は読み取り面から最大80cm以上離しても読み取ることが可能であることを表しています。
バーコードリーダーの性能表として記載のあるDOFはバーコードの印字状態や読み取りを行う環境に大きく左右されるため、あくまでも参考値として確認することが望ましいです。
DOFはバーコードリーダーやカメラ・レンズの焦点位置によって異なる
搭載されたカメラ・レンズの特性やバーコードを識別するデコーダーの性能により、DOFの値はバーコードリーダーによって異なります。また同じカメラ・レンズが搭載されたバーコードリーダーであっても焦点位置の異なる設計が行われている機種が多く、利用用途によって最適なDOF(スペックとして求められるDOF)は異なるため、運用に合わせて最適なDOFを持つバーコードリーダーを選択する必要があります。
組込バーコードリーダーは最小読み取り距離が重要?
最近急増している宅配ボックスや自動販売機などに搭載されている組込バーコードリーダーでは、最大読み取り距離よりも最小読み取り距離が重視されるケースが多いです。その最大の理由は最小読み取り距離性能が良いほどバーコードリーダーの組込スペースを抑えることが出来るためです。小型に設計された組込バーコードリーダーであったとしても最小読み取り距離が長いほど、その分機械の中でバーコードリーダーから読み取り面までの距離を取る必要があり、余計なスペースを確保する必要が出てきてしまいます。
最長読み取り距離が16mのバーコードリーダーがある?
読み取り距離の長いバーコードリーダーの中には最大16m離れたバーコードの読み取りが可能なモデルがあります。物流倉庫や製造現場などで使われる工業モデルのバーコードリーダーで、読み取り対象のバーコードに自動でピントを合わせて調整するオートフォーカスのカメラ・レンズが搭載されているため、近くのバーコードも遠くのバーコードも読み取りが可能となります。この長い読み取り距離により、パレットで高く積み上げられたダンボールに印字されたバーコードの読み取りやフォークリフトに乗ったまま積載荷物についたバーコードを読み取ることができるなど、業務効率が良くなるだけでなく作業オペレーターの負担軽減にも繋がります。
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